湿原で最も早く花を咲かせるのはネコヤナギです。卵形で先のとがった冬芽が赤い鱗片を脱ぐと、中から白色の軟毛に包まれた花穂(かすい)が出てきます。さらに数日すると、その中から赤褐色の葯をつけた雄しべが次々に出てきます。雄花の開花です。ヤナギ科は雌雄異株で、雌花のつく雌株と、雄花のつく雄株があります。
湿原内では湿地Ⅰと湿地Ⅳなどにわずかに生育しますが、雌株は見かけません。探し求めて、溜め池横の谷で大きな雌株に会えたときには、思わず「ここにいたの!」とつぶやいてしまいました。
落葉低木で樹高は1~3m。ヤナギ類の中では最も流速の早い水辺に生育できるため、渓流の流れに沿った場所などに見られますが、ため池や湿地にも生育します。また、ヤナギ類の中では春先に最も早く開花するものの一つで、早春の花材としてよく使われます。
(湿地Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ、ため池)
落葉低木(高さ1~3m)
花期:2月下旬~4月
分布 国内:北海道~九州
国外:朝鮮半島、中国
ヤナギ科 ヤナギ属 猫柳
Salix gracilistyla Miq.
樫原湿原には、この他にオオタチヤナギ、ノヤナギ、ヤマヤナギが生育しています。