草原と路傍の植物

水田跡地Ⅵ
湿地Ⅲ隣接地 法面草地
人工湿地隣接地 法面草地

 湿原の一部は以前は水田として利用され、その周辺は草原として利用されていました。また、ここから少し離れた地域にも広い草原が見られました。これらの草原では秋に草刈が行われ、翌年の春に水田に敷き込まれていました(刈敷)。また初夏に伸びた青草も刈り取られて水田に敷き込まれていました。現在、そのように利用される草原はありませんが、水田跡地Ⅵや市道法面に同様の二次的草原が見られます。ここでは春に野焼きが実施されます。また、草丈に応じて、初夏から秋にかけて草刈管理も行われます。
 西日本に見られる草原は、野焼きや刈り取り、放牧で形成・維持されている二次的草原です。このような草原は、野焼きだけでは毎年草丈が高くなりススキやハギ類が優占する高茎群落になり、多様性が低下していきます。野焼きに加えて草刈や放牧などの追加の圧力が加わることで草丈は低くなり、オミナエシ、カワラナデシコ、アマドコロなどが生育する多様性の高い草原になります。昭和中期頃までの草原はこのような草原であり、樫原湿原でも同様の草原を目指して管理を行っています。

オカトラノオ
ユウスゲ
カワラナデシコ

 残念ながら、樫原湿原一帯の草原のほとんどは昭和中期以降にできあがってきた新しいものと思われます。最も広い「水田跡地Ⅵ」域はその名称の通り、以前は水田として利用していた場所ですが、昭和中期以降は放置され、草原状態に移行したものです。また、市道法面部は、昭和40年代の道路建設時に張芝工(野シバを貼り付け)が行われ、その後現状のように変化したもの。湿地Ⅴ、Ⅵ域も圃場整備に伴い、以前の土手草地などは改変されています。そのため、草原の構成種にはシオンなど阿蘇産張芝由来と考えられる種も残っていますが、多くの種は時間経過とともに周辺地域から侵入し、現在の草原状態が形成されてきたと考えられます。
 

ウツボグサ
ウメバチソウ
ミヤコグサ

植物目録:工事中です。少しずつ収録数を増やしていきます。

シダ植物

 ゼンマイ、ワラビ

種子植物

 :アオスゲ、アキカラマツ、アキノキリンソウ、アキノタムラソウ、アキノノゲシ、アメリカフウロ、アリノトウグサ、イシミカワ、イタドリ、イヌタデ、ウシハコベ、ウツボグサ、ウマノアシガタ、ウメバチソウ、エノコログサ、オオイヌノフグリ、オオバギボウシ、オオバコ、オカトラノオ、オトギリソウ、オトコエシ、オトコヨモギ、オドリコソウ、オニタビラコ、オミナエシ、オランダミミナグサ
 :カゼクサ、カタバミ、カナビキソウ、カワラナデシコ、キキョウ、キツネノマゴ、キランソウ、キンエノコロ、クサイ、クズ、クルマバナ、ゲンノショウコ、コウゾリナ、コオニユリ、コシオガマ、コナスビ、コマツナギ
 :サイヨウシャジン、シラヤマギク、シロツメクサ、スイバ、スギナ、ススキ、スミレ、セイヨウタンポポ、センブリ、ソクシンラン
 :チガヤ、チカラシバ、チチコグサ、ツクシミノボロスゲ、ツボスミレ、ツユクサ、テリハアカショウマ、トウバナ、トダシバ
 :ナズナ、ナンテンハギ、ナンバンギセル、ニオイタチツボスミレ、ニガナ、ニシキハギ、ニワゼキショウ、ヌカキビ、ヌスビトハギ、ネコハギ、ネジバナ、ノアザミ、ノギラン、ノコンギク、ノダケ、ノブドウ
 :ハハコグサ、ヒキオコシ、ヒメウズ、ヒメキンミズヒキ、ヒメジソ、ヒメハギ、ベニバナボロギク、ホトケノザ
 :マイサギソウ、ミツバツチグリ、ミミナグサ、ミヤコグサ、ムカゴソウ、ムラサキケマン、メガルカヤ
 :ヤクシソウ、ヤハズソウ、ヤブツルアズキ、ヤブマメ、ヤマアザミ、ヤマハッカ、ユウスゲ、ヨメナ、ヨモギ
 ラ、ワ:リンドウ、ワラビ、ワレモコウ