トキソウ

 初夏、茎頂に鮮やかな朱鷺色の花を1個つけます(稀に白色のものもある)。群生するため多いところでは生育地全体がトキ色になる程。サギソウよりも水分の少ない湿地に生育し、時に乾燥気味と思える場所にも出てびっくりすることがあります。地中にひも状の細い根茎を広げ、これから花茎や葉を長く伸ばして地表に出るため、厚いミズゴケ層の中でも生育できます。
 かつて日本の各地には朱鷺(トキ)が身近な鳥として生息し、その羽根の色に近い花を付ける本種に「朱鷺草」の名が付けられましたが、いまではトキソウの花の色から「朱鷺色」を連想しなければならない状況になりました。そして、トキソウもまた、野生の花を見ることはほとんどできなくなっています。
 佐賀県の「希少野生動植物種」に指定されています。

  花期:6月  高さ(花茎):5~20cm
  分布 国内:北海道~九州
     国外:千島、朝鮮半島、中国

ラン科 トキソウ属  朱鷺草  
Pogonia japonica Rchb.f.