水 域
主な水域の植物(水生植物)は次の通りです。
浮葉植物のジュンサイ、ヒツジグサ、フトヒルムシロ、沈水植物のヒメタヌキモ、スブタ、浮遊植物のイヌタヌキモ、抽水植物のカンガレイ類、シズイ、ヘラオモダカ等が生育しています。また、溜め池には全域にヒシ(浮葉植物)がみられます。
湿原域
群落毎に生育する植物が異なります。
貧栄養型低茎湿生群落:
立地の栄養分が少なく、生育する植物は小型の種が中心です。最も養分が少ない場所では裸地状になり、モウセンゴケが主な生育種になっています。ここでは群落の高さは数㎝で、植被率は10%に達しないことも少なくありません。少し養分が多くなるとイトイヌノハナヒゲが主な生育種となり、カリマタガヤ、シロイヌノヒゲなどもみられます。群落の高さは10~20cm、植被率は90%を超えることもあります。さらに栄養条件が良くなるとコイヌノハナヒゲが優占するようになり、群落高は20~30cm、植被率は100%に達するようになります。
中茎湿生群落:
立地の栄養分が多くなるとチゴザサ、マアザミが生育する植物の中心になります(チゴザサ-マアザミ群落)。他にサワヒヨドリ、コバギボウシ、ヒメアギスミレ、ゴウソ、マツバスゲ等が生育し、群落の高さは30~80cmになります。樫原湿原の中心的な群落で最も広い面積を占めています。また、この群落は水分が多くなるとミズオトギリが多くなり、水分が少なくなるとヌマトラノオが多くなります。湿地Ⅳの中部から下部域などではさらに栄養条件が良くなりヤマアワ、シロバナサクラタデ、マコモ、ヨシ等の大型の植物が混生するようになります。
高茎湿生群落:
溜め池の周辺部などの最も栄養条件の良いところではマコモ、ヨシ、ツルヨシ、ヒメガマ、ショウブなどの大型植物が繁茂するようになります。また、群落内部にはカサスゲがカーペット状に生育するところもあります。大型植物が多くなると中茎湿生群落の構成種は次第に少なくなります。
オオミズゴケ群落:
湿地Ⅰ~Ⅳ、人工湿地域にはオオミズゴケが厚く堆積した状態が各所に見られます。もともとの低茎湿生群落や中茎湿生群落内にオオミズゴケが生育するようになると、次第に全域にカーペット状に広がり、厚く盛り上がるようになります。それにつれて湿生植物は小型のものから姿を消し、群落の構成種は少なくなっていきます。オオミズゴケの厚さが15cmを超えるようになると中茎までのほとんどの湿生植物は姿を消します。ヒメミクリやカキランなどは比較的遅くまで生育が見られますが、やがてヤマアワやトダシバに変わり、スイカズラやミヤコイバラなどのつる性木本が侵入してきます。さらにミズゴケ層が厚くなると表面部は乾くようになり、イヌツゲ、ネジキ、リョウブなどの樹木が入るようになり、湿生低木林状になります。湿原の保全管理ではオオミズゴケ群落を適正な状態に保つための取り組みが行われています。
以下は工事中です。少しずつ充実予定です。
湿生植物と水生植物をリストしました。
ユウスゲ、イヌツゲ、ネジキなど、水湿地に生育しても本来の生育地が草原や森林などの植物は省いてあります。画像リンクがあるもの(下線)の中で、和名がゴシックのものは解説のあるものです。そうでないものは写真のみです。
コケ植物
オオミズゴケ、ヒメミズゴケ
シダ植物
ヒメシダ、ヤマドリゼンマイ
種子植物
ア: アオコウガイゼキショウ、アカバナ、アケボノソウ、アシカキ、アシボソ、アブラガヤ、イ、イトイヌノハナヒゲ、イヌタヌキモ、イヌヌマトラノオ、イヌノハナヒゲ、イボクサ、ウナギツカミ、エゾシロネ、オオタチヤナギ
カ: カキツバタ、カサスゲ、カリマタガヤ、カワラスガナ、カンガレイ類(雑種を含む)、キツネノボタン、コイヌノハナヒゲ、コウガイゼキショウ、ゴウソ、コガマ、コケオトギリ、コシロネ、コシンジュガヤ、コバギボウシ、コバノトンボソウ
サ: サギソウ、サツママアザミ、サワオグルマ、サワギキョウ、サワヒヨドリ、シカクイ、シカクホタルイ、シズイ、ジュンサイ、シロイヌノヒゲ、シロバナサクラタデ、スブタ
タ: タチスゲ、タネツケバナ、チゴザサ、ツリフネソウ、トキソウ
ナ: ナガバノウナギツカミ、ニガナ、ニッポンイヌノヒゲ、ヌマトラノオ、ネコヤナギ、ノハナショウブ
ハ: ハイヌメリ、ハリコウガイゼキショウ、ヒシ、ヒツジグサ、ヒメアギスミレ、ヒメオトギリ、ヒメガマ、ヒメタヌキモ、ヒメミクリ、フトヒルムシロ、ヘラオモダカ、ホザキノミミカキグサ、ホソバノヨツバムグラ、ホタルイ
マ: マアザミ、マコモ、マツバスゲ、ミズオトギリ、ミズタマソウ、ミズトンボ、ミズハナビ、ミゾカクシ、ミゾソバ、ミソハギ、ミツガシワ、ミミカキグサ、ムラサキミミカキグサ、モウセンゴケ
ヤ: ヤノネグサ、ヤマアワ、ヨシ