森林の植物

湿地Ⅰ縁部の森林
湿地Ⅲ縁部の森林(中之島)
湿地Ⅳ・Ⅴ縁部の森林(中之島)
コナラ林(湿地Ⅱ隣接地)
シハイスミレ
シュンラン
ミヤマウズラ

 湿地Ⅰ周辺部と中之島には高さ8mから15m程の森林が広がっています。植生状態は場所によって異なりますが、主要部はアカマツ、コナラを中心に、ウワミズザクラ、ホオノキなどの落葉樹とクロキ、ソヨゴ、アカガシなどの常緑樹が混生する状態になっています。
 これらの森林は、昭和中期頃までは定期的に伐採される薪炭林や柴山として利用されていたようですが、昭和30年代の伐採を最後に放置され、現在の状態に変化(遷移)してきています。
 湿原を保全していく上で、周辺森林の成長は次のような問題を顕在化させています。
 1)湿地の日当たりを悪くする
 樹木は毎年、樹高と枝張りが伸びていきます。それに伴い、湿地は陰になり、日当たりの悪い部分が広くなっていきます。湿生植物は明るい環境を必要とするものが多く、日当たりの悪化は生育の悪化につながります。場所によっては湿生植物がほとんど生育しない状況も見られます。
 2)葉や枝が湿地内に堆積する
 モウセンゴケやミミカキグサなどの小型の植物は上を落ち葉で被われると生育できなくなります。落ち葉や枯れ枝の量が多くなると、それらは水に濡れてくっつき合い、次第に防草シートのようになっていきます。そうなると、シロイヌノヒゲやイヌノハナヒゲ類等の貧栄養型低茎群落の主要な構成種も生育できなくなっていきます。
 3)落葉、落枝が分解され、栄養分が湿地に流れ込む
 樫原湿原の特徴は、貧栄養型低茎群落からマアザミ・チゴザサ型の中茎群落までの植生状態が比較的広く見られることに有りますが、これは湿地域が養分の少ない状態に保たれることで成立・維持されます。周辺林からの養分流入の増加は、カサスゲ、ヤマアワ、マコモ、ヨシ等の大型多年草の生育と増加を引き起こし、湿原の植生をヨシ原のような高茎群落へと変化させます。

 平成17~21年度の自然再生事業とその後の維持管理では、これらの点を意識しながら、昭和中期頃の湿原状態を再生・維持することを目標として森林管理を行っています。湿地Ⅱ横のコナラ林は、大茎木や常緑樹を中心に除伐して典型的な里山の再生を目指しています。秋の終わりには地元企業による落ち葉かきのボランティア作業が毎年行われています。湿地Ⅳ横では森林を伐採して草原状態を再生させています。今後もこのような取り組みを続けていく予定です。

林域に見られる植物:工事中です。少しずつ収録数を増やしていきます。

シダ植物

 ウラジロ、シシガシラ、ベニシダ

種子植物

 :アオツヅラフジ、アカガシ、アカマツ、アケビ、アマドコロ、イチヤクソウ、イヌウメモドキ、イヌザンショウ、イヌシデ、アリマウマノスズクサ、イワガラミ、ウラジロノキ、ウワミズザクラ、ウンゼンアオイ、エゴノキ、エビヅル、オオバウマノスズクサ
 :カエデドコロ、カヤラン、キカラスウリ、キガンピ、キッコウハグマ、クサイチゴ、クズ、クモキリソウ、クリ、キンラン、クロキ、クロマツ、ケクロモジ、コガクウツギ、コシアブラ、コナスビ、コナラ、コバノガマズミ、コマユミ
 :ザイフリボク、サカキ、ササクサ、サジガンクビ、サルトリイバラ、シキミ、シハイスミレ、シャガ、シュウブンソウ、シュンラン、スイカズラ、スダジイ、センボンヤリ、ソヨゴ
 :タカノツメ、ツクシショウジョウバカマ、ツリバナ、ツリフネソウ、ツルアリドオシ、ツルリンドウ
 :ナツハゼ、ナツフジ、ナルコユリ、ヌルデ、ネジキ、ネズミモチ、ネムノキ、ノグルミ、ノブドウ、ノヤマトンボ(オオバノトンボソウ)
 :ハナイカダ、ヒサカキ、ヒナノシャクジョウ、ヒヨドリジョウゴ、フユイチゴ、ホウチャクソウ、ホウノキ
 :ママコナ、マムシグサ、ベニカヤラン、ミツバアケビ、ミヤマウズラ、ミヤマシキミ
 :ヤブコウジ、ヤブムラサキ、ヤマウルシ、ヤマザクラ、ヤマツツジ、ヤマノイモ、ヤマフジ、ヤマボウシ、ヤマホトトギス
 :リョウブ