野焼き

湿原では、早春の2月から3月にかけて野焼きが行われます。
古くから、地元の人々によって実施され、湿原にとっては欠かすことの出来ない管理作業です。

野焼きは危険と隣り合わせの作業。事故のないよう、細心の注意を払いながら行われます。
晴れた日が数日続き、枯草がよく乾燥した状態で行われますが、風が強ければ中止されます。

野焼きの目的(意義)
 野焼きには以下の効果があり、湿原環境を保全するにはなくてはならない作業です。
1.地上部の枯草や落ち葉を燃やすことで、地表部にマルチ状にたまった有機物がなくなり新芽が育ちやすくなる。また、地表に光が届くようになり、明るい環境を好む植物(湿生植物の多く)の生育環境を保全する。
2.地表より上にある分裂組織(木本植物の新芽や茎の周辺部の形成層)を熱で焼き殺し、生育できないようにする。(木本植物が生育できなくなる。)
3.地表を明るくし、温度を高めることで地中の種子発芽をうながす。
4.土壌の貧栄養化を促す(地表有機物のNの99%、Pの18%、Kの44%等が失われる)。
 

文献:

野草類の⼟壌環境に対する⽣育適性の評価と再⽣技術の開発(H22-24)研究代表者⽒名︓ 平舘 俊太郎((独)農業環境技術研究所)

文献抜粋:<伝統的な草地の管理⼿法は、草地の⼟壌を貧栄養的な環境に誘導する性質が強く、その効果は、刈取り>放牧>野焼き、の順であると考えられた。また、刈取りおよび放牧は⼟壌を酸性化させ、その効果は、刈取り>放牧、の順であると考えられた。野焼きは⼟壌pHを上昇させる効果があるものの、⻑期的に⾒れば、草地におけるCaやKといったアルカリ分の⼟壌からの溶脱や持ち出しを助⻑することにより、貧栄養化を促していると考えられた。>