湿原一帯は落ち葉の季節になりました。この時期、ほんのりと「綿あめ」の香りが漂います。自分で気づく人はあまりいませんが、紹介すると多くの方が「ほんとだ!」と笑顔になります。香りの元はタカノツメで、葉が色づいて落ち始める頃に香ります。ただ、中にはこの香りが分からない人もいるようです。
香りの成分はマルトール maltolという有機物で、パンやお菓子の香料として工業的にも生産されているとか。
落ち葉を踏みながら歩いていると、どこからともなく甘い香りが漂ってくる・・・、初冬の訪れを教えてくれますが、心の中はほっこり暖かくなります。
浚渫、本当はこうしたかった!
ジュンサイの生育域では根茎と根が土をしっかり捕まえているので、三本鍬で堆積土を塊として簡単に引き上げることが出来ます。でも、それがないところでは堆積土はへどろ状で鍬で引き上げることは出来ません。仕方がないので柄杓でくみ上げて岸にそっと広げていたのですが、そうこうするうちに知恵者が「板で枠を作ってみれば!」と提案。それは良い、と言うことで早速上のような枠作って流し込みましたが、これが大成功。この後数日間水抜きをして、固まった泥をスコップで切り出す予定です。じつは平成17年からの自然再生事業で、浚渫土をどう処理するかで、同じような枠を竹かごで作って水抜きをしようと計画したことがありました。(水抜きの間に水生動物は池の中に戻っていくとの想定で) ただ、そのときはあまりに手間と時間がかかるとの理由で却下され、重機(バックフォー)でくみ上げることになりました。その後ずっと、”あの時はひどいことをしたなあ”と気になっていました。今回、十数年ぶりに捲土重来、実に簡単な方法で溜飲を下げることが出来ました。すっきり!
佐賀大辻田研究室の皆さんが今年最後の調査に来られました。サギソウの発芽試験地はイノシシが掘り返してボコボコ。資料が回収できるか心配されましたが、なんと、問題なく成功!驚きでした。イノシシ被害を想定して、長めのピンで地中にしっかり固定していたのが良かったとか。さすがでした。キンランの結実調査も今年はうまく行ったとのこと。昨年の結果を踏まえた試行錯誤が今年の結果につながったようです。何でもありの自然相手の野外実験ですが、しっかりした準備で成果をがっちり!お疲れ様でした。
10月から池の水が少しずつ減ってきて、カモも泳ぎ難くなっています。例年、水を落とすのは野焼きにそなえて2月頃ですが、今年はいつもと様子が違います。じつは、堤が痛んで、一部崩れており、その補修工事のために今、水を抜いているとのことでした。おかげで水鳥たちも少し勝手が違う様子。アオサギは池の中央付近を歩いて餌探し。波紋の下にはかなり大きな魚が見えていました。多分コイでしょう。アオサギにはちょっと大きすぎるようでした。
湿地Ⅱの浚渫作業では、今日はドジョウがすくい上げられたようです。こちらは撮影後に池にリリース。捕まえたのがアオサギだったら食べられるところでした。4人衆で命拾い。