雨が少なく、水生植物のヒツジグサもタヌキモ類(イヌタヌキモ、ヒメタヌキモ)もご覧の通り。干上がった池の底部に張り付いた状態になってしまいました。これでどのくらい持つのかなと心配してしまいますが、水湿地の植物にとっては生育地のこのような乾燥は想定内でしょう。水域が干上がるのは普通にある変化で、彼らにとっては当たり前。この変化の中で生き残れるものだけが残ってきたのでしょう。
それにしても、自然の中で生きていくのは厳しいですね。来訪者の「空気がきれいねぇ」、「癒やされる~」、「かわいい~」等の歓声の横で、ここで生き抜く生き物たちは全く違う感想をつぶやいているのかも知れません。
朝、ふと気づくと落ち葉の上に何やら溶けたような黒いドロドロ。もしかしてと思い、夕方もう一度見に行くと、やっぱり溶けていました。ヒトヨタケの仲間のようですが、詳しくは分かりません。夕方見に行ったときに、新しいキノコが出かかっていましたが、この変化を見るには一晩泊まらないとダメ?そうなので諦めました。いつか機会があれば、開いた傘を見てみたいものです。(→その後、詳しい方からウシグソヒトヨタケかネナガノヒトヨタケでしょうと教えていただきました。7/11)
本格的な夏を前に、危ない枯れ松はできるだけ伐採処理しておこうと、月曜4人衆に手伝ってもらいながら毎週伐採作業の連続。それにしても今日の作業は難儀でした。最初に、松のできるだけ高所に引っ張りロープをかける作戦。これが思いのほか大変。次に受け口を切って、追い口を切って、人力ウインチで倒す・・・・はずが、松は立ったまま平行移動。想定した最悪のパターン、やっちまった。仕方なく、高さ1m程で段切り。するとまた直立。こうなるんだよな~、段切りは。もう一度、段切りして、再度、人力ウインチでやっと仕留めました。皆さん、お疲れさまでした。来週は1回休もう。
それにしても、散策路のすぐ横にこんな枯松があるとは気づきませんでした。両隣の杉の枝に隠れて枯れ枝が全く見えませんでした。危ない、危ない。
シズイは難防除雑草、絶滅危惧種
佐賀県では生育地が限られ、絶滅危惧Ⅱ類種に区分されています。国内では北海道~九州に分布しますが、多くの地域で生育量が減少し、絶滅危惧種に分類されています。樫原湿原では湿地Ⅱと人工湿地に比較的多く生育し、シズイの希少性を理解している研究者が見ると驚きます。
ところが樫原湿原周辺の水田地域にも生育し、ここではとんでもない厄介者として嫌われています。水田で使う一般的な除草剤が効かず、一旦入ると次第に増加し、密生して稲の生育を阻害して収量減につながります。上の最初の写真では除草剤で少し枯れかかっていますが、発生がだらだらと続きますので、その内除草剤が効かなくなり増加していきます。「難防除雑草」の中でも取り分けやっかいな植物なのです。
この地域の米は農薬使用量が減らされ、「特別栽培米」として販売されています。むやみやたらに強い薬品を使うわけにもいかず、農家にとっては大変困る、憎たらしい雑草なのです。