数年ぶりに枯松が多数発生。少しずつ伐採処理をしていますが、安全確保と周辺植物への影響を少なくするため、ロープで牽引して目標方向に伐倒しています。この際、最初にロープをかけるのが一仕事です。長い棒の先にロープの端をつけて伐採予定木の枝にかける場合もありますが、少し高めの位置にかけるときは、上の写真の様に、ツリークライミングで使う重り(スローウェイト)を投げ上げて、まず、細いひも(スローライン)を引っかけ、このひもで太い牽引用ロープを引き上げてかける場合もあります。5日は後者で、kanadeさんがトライ。(まだ修行中です。)かけたロープの端は牽引用機具(手動ウインチ)に繋いで引っ張ります。ウインチで引く度に枯れマツの枝先が揺れ、最後は大きな音を立てて倒伏。枯れ枝が飛び散ります。(桑原集落の伐採プロの方々から、枯れ枝が一番危ないと、何度も教えていただいています。ご安全に!)この日は枯れマツを2本、ほぼ目標方向に倒せました。幹は薪用の長さに切って搬出。キャンプ場関係者や薪ストーブを使っている村の人が持って行ってくれます。
この冬、マツ、コナラの伐採予定が5本以上。少しずつ、安全に、そして周辺植生に優しく、可能な範囲で処理していこうと思っています。
湿原に花が多い時期には気づきにくいのですが、冬が近づき、見るべきものがなくなる頃、湖面にある小さな浮遊物が目につき易くなる気がします。枯れかかったイヌタヌキモやヒツジグサの葉から浮遊物の大きさがわかると思いますが、長さは5mm前後で1カ所に集まって浮いています。近づいてみると、中央に丸い球体が入っています。じつはこれ、ヒツジグサの種子です。水中で果実が裂開すると中からたくさんの種子が出てきます。そして、1個1個の種子の両端には浮き袋のような構造物が付いていて、これで水面に浮く仕掛けです。風や流れがあればやがて広がっていきますが、浮き袋状の構造物は1日ほどで壊れ、種子は水底に沈んでいきます。水生植物のヒツジグサが編み出した巧みな種子散布の戦略です。
それぞれの種子は翌年に発芽して、新しい個体になって成長しますが、時々、水底の1カ所からたくさんの水中葉が出ていることがあります。多分、水中に沈んだ果実が土の中に埋まり、裂開しても種子が水面に浮き上がれないでまとまって発芽したと思われます。そして、じつはこのパターンの発芽は意外と多く見かけます。ヒツジグサの巧みな戦略も全てがうまく行くとは限らないようです。
今年は伐採木搬出が加わりました。昨年から、コナラに「ナラ枯れ病」が入りはじめ、罹患木および大径木の伐採を進めています。チェーンソーで切ってみるとよくわかりますが、材は堅く、想像以上に重いです。タイの方は枯松の搬出。今日の寒さはなんともないとのこと。
子ども達、頑張ってくれました。足元の汚れ具合を見ればよくわかります。全員に敢闘賞です。
寒い中、そして足元の悪い中、本当にお疲れ様でした。有り難うございました。これに懲りずに、来年も宜しくお願いします。(湿原のトキソウとミツガシワより)