湿原に花が多い時期には気づきにくいのですが、冬が近づき、見るべきものがなくなる頃、湖面にある小さな浮遊物が目につき易くなる気がします。枯れかかったイヌタヌキモやヒツジグサの葉から浮遊物の大きさがわかると思いますが、長さは5mm前後で1カ所に集まって浮いています。近づいてみると、中央に丸い球体が入っています。じつはこれ、ヒツジグサの種子です。水中で果実が裂開すると中からたくさんの種子が出てきます。そして、1個1個の種子の両端には浮き袋のような構造物が付いていて、これで水面に浮く仕掛けです。風や流れがあればやがて広がっていきますが、浮き袋状の構造物は1日ほどで壊れ、種子は水底に沈んでいきます。水生植物のヒツジグサが編み出した巧みな種子散布の戦略です。
それぞれの種子は翌年に発芽して、新しい個体になって成長しますが、時々、水底の1カ所からたくさんの水中葉が出ていることがあります。多分、水中に沈んだ果実が土の中に埋まり、裂開しても種子が水面に浮き上がれないでまとまって発芽したと思われます。そして、じつはこのパターンの発芽は意外と多く見かけます。ヒツジグサの巧みな戦略も全てがうまく行くとは限らないようです。
今年は伐採木搬出が加わりました。昨年から、コナラに「ナラ枯れ病」が入りはじめ、罹患木および大径木の伐採を進めています。チェーンソーで切ってみるとよくわかりますが、材は堅く、想像以上に重いです。タイの方は枯松の搬出。今日の寒さはなんともないとのこと。
子ども達、頑張ってくれました。足元の汚れ具合を見ればよくわかります。全員に敢闘賞です。
寒い中、そして足元の悪い中、本当にお疲れ様でした。有り難うございました。これに懲りずに、来年も宜しくお願いします。(湿原のトキソウとミツガシワより)
旧佐賀エレクトロニクス時代に始まった湿原保全のためのボランティア活動は、継続7年目になります。今年は総勢110名で、これまでで最多の参加者となりました。有り難うございます。そしてお疲れ様でした。
樫原湿原の保全管理では、草刈、浚渫等の湿原域の管理作業と合わせて、周辺森林域での樹木伐採や落ち葉かき等も重要な作業になります。これまで、日清紡マイクロデバイスの皆さんによるボランティア活動は林内の落ち葉かき中心でしたが、今年は伐採したコナラ等の搬出もしていただきました。3の3にビフォー、アフターの状況を載せましたが、大変な作業量で、樫原湿原保全に大きく貢献していただいています。感謝、感謝です。湿原のサギソウ、ハッチョウトンボ、トノサマガエル他、生き物たちみんなが喜んでいるに違いありません。彼らに成り代わってお礼申し上げます。「有り難うございます。」
今年は、前日までの雨で落ち葉が濡れていました。そのため、集めにくい、手袋が濡れて冷たい、重くて運ぶのが大変と、これまででで最も大変な作業になりました。カメラを向けると、笑ったり、何ともないようにされていますが、本当に重いんです。
(3の2に続きます)