湿地Ⅰに生育する貧栄養型低茎湿生群落は、面積が広く、樫原湿原の最も重要な植生と言えます。典型性の高い部分では植被率(植物が地面を被っている割合)は40~80%(夏期)程度で、イトイヌノハナヒゲ、モウセンゴケ、ミミカキグサ類を主要な構成種とします。 ところが、残念なことに、昨年7月豪雨で上部のスギ植林地が崩壊し、多量の土砂が湿地に流れ込みました。写真の低茎群落域にも養分を含んだ泥土が流入・堆積しました。その結果、今年は生育植物の生育量が多く、構成種もより大型のコイヌノハナヒゲが植被率100%で優占する状況になりました。想定はしていたのですが、こんなに変化するとは驚きでした。
このまま放置するわけにはいきません。優占種にダメージを与えること、養分(有機物)を持ち出すことを目的に、草刈を実施し、刈草を搬出しました。例年、草が枯れた冬期に実施する作業ですが、コイヌノハナヒゲの生育量を抑えるため、青刈りを実施することにしました。これでより多くの養分を持ち出すことになります。ただ、サギソウ、モウセンゴケなども生育していますので、刈り取りは出来るだけ遅くし、地表5cm程度の高刈りとしました。高刈りであれば、サギソウの第1、2葉は刈られずに残ります。もちろんモウセンゴケの株も残ります。雨に打たれれば、表土も少しは流れてくれるでしょう。さて、結果は来年です。自然相手では、すぐには結果を見せてはもらえません。維持管理作業のタイムスケジュールは自然に合わせることが絶対です。
湿原の草枯れは普通の草原より早く始まります。同様の草刈を10月中に済ませなければなりません。先日痛めた腰がまだ痛いのですが、気合いだあ、気合いだあ、気合いだあ~~!・・・・・ やっぱり、気合いだあ~~!
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