湿地Ⅲ

 チゴザサ・マアザミ型の中茎群落を主要素とし、一部に低茎湿生群落、水生群落がみられます。湿地の中央部分には以前はいくつかの水域があったようですが、現在はなく、上部域を中心に土砂の堆積がみられます。下部域の中の島側は以前は水田として利用されていました。

 湿地Ⅰからの流入水で運び込まれる泥土が堆積し、緩やかに乾燥化が進んでいます。そのため、上部域を中心に少しずつ土砂の除去が続けられています。基本的にほぼ全域にチゴザサ-マアザミ型群落が生育し、水分条件の違いによりミズオトギリ、ヌマトラノオ、コイヌノハナヒゲなどが棲み分けています。群落内にはトキソウ、コバギボウシが多く生育するほかミソハギ、フトヒルムシロなどもみることが出来ます。また、市道側草原にはウメバチソウ、キキョウ、オトコエシなどが生育します。
 南東部は一段高くなっていて、以前は水田として利用されていました。少なくとも昭和中期以降は放棄されて遷移が進み、平成17年時には湿生低木林(オオミズゴケ-イヌツゲ群落)状態になっていました。再生事業で同群落を除去し、その後も刈り取りなどの管理を継続して、現在のチゴザサ-マアザミ型の群落が再生してきました。
 また、ここでは湿地縁部の樹木が大きくなり、湿地への日差しを遮ったり、枝葉が湿地内に落ちて、湿生植物の生育を阻害するなどの影響が見られますので、除伐が行われています。以前はもっと樹木が少なくて、弁財天にお参りに行く人が道路側から見えていたそうです。